月夜の貴方に第43話

妄想小説。

そっと体を離したサトシ。

キョトンと目を見開いて

ええっと

今なんて?

窺うようにオレを覗き込む。

はぁ

もう

聞き直すんじゃないよ。

恥ずかし過ぎるでしょ。

もっとちゃんと

言いたかったのにっ

もう2度と言わないからね

えっ、そんなっ、

お願いっ、もう1回だけっ

もう1回だけ聞かせてっ?

絶対に言わないっ

そう言うと、途端に眉を下げて

サトシはまた情けない顔になる。

ふふ。

かわいい。

こんなの冗談なのに。

だって

オレだって

ちゃんと伝えたい。

だけどこのくらいは

許されるんじゃない?

ならいいよ

抑揚のない声で

サトシがボソっと何か言った。

え?なに?

言わないならいい

えあの、サトシ?

まさか

怒っちゃったの?

あ、サトシ、あのね?

言わないなら

無理やりに聞いてやるっ

えっ、なにっ、ぅわっ

両肩がサトシの手に掴まれて

そのままソファーに倒された。

ちょっ、サトシっ

なにしてっぁンっ

耳にちゅっ、とキスをされて

ふうっと息を吹きかけられる。

カズ好き

好きだよ大好き

やっ、サトシっ、

そこでしゃべっちゃっ

全身を甘い痺れが走る

耳に触れる唇が熱い。

耳にかかる息も熱い。

カズかわい

好き好きだよ

ゾクゾクと肌が粟立つ。

やぁあっ

はっん

カズ教えて?

ちゃんと聞かせてよ

ねぇ俺のこと好き?

あさとしっ

ダメっあぁっ

ぬめりを帯びた舌が

チロチロと動き出す。

ねぇ好き?

あ、すっ、好きっ

んもう1回

っ好きっ

オレはサトシが好き

言い終えた次の瞬間、

また力いっぱい抱きしめられて

カズっ、カズ大好きっ

今度こそ

オレは息が止まるかと思った。